サラーム海上 Salam Unagami (音楽評論家/DJ/中東料理研究家)より、コメントをいただきました!(以下)
ライト・イン・バビロンはイラン系イスラエル人の女性歌手ミハルが、フランス人ギタリストのジュリアン、トルコ人のサントゥール(バチで叩く琴状の楽器)奏者のメテハンとともに、国際都市イスタンブールの路上で活動を開始した多国籍トリオ。バンド名は、今なお民族間や宗教間の紛争が続く中東地域を古代の大都市バビロンに例え、混沌としたバビロンに音楽を通じて小さな明かりを灯すという意味であろう。
ユダヤ教徒のイラン人だったミハルの両親は、1979年にイランで起きたイスラム革命によって祖国を追われ、イスラエルに亡命した。現在でもイランでは女性が人前で自由に歌うことは禁止されているが、彼女はイスラエル人のため、自由に音楽を奏で、(イスラエルのヘブライ語でもイランのペルシャ語でも)歌を歌うことができる。また現在も両国は敵対しあい、国交が断絶しているため、彼女は両親の祖国イランを訪れることはできない。
日本でも大きく報道されたが、イランでは昨年9月、若い女性がヘジャブ(スカーフ)の着け方を理由に風紀警察に拘束され、その後死亡した事件が起きた。それをきっかけに「女性、命、自由」をスローガンにした反政府デモがイラン全土、更に世界中のイラン人コミュニティーで起こり、現在まで広がり続けている。もちろんミハルたちはこの動きに賛同している。
ミハルの夢は女性が自由に歌を歌えるようになったイランに行き、歌を歌うこととのこと。今は叶わぬ夢だが、音楽を通じてバビロンに明かりを灯し続ければ、いつか彼女の夢が叶う日が来る……そう信じたくなる。
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2010年にトルコで結成。ロマ文化を継承しつつ、活動地域や音楽ジャンル、いかなる国と国とのボーダーにもとらわれることのないコスモポリタニズムの信念を持ちながら活動するバンドの情熱的でパワフルなライブをお届けします。
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プログラム ※変更になる場合がございます。
Istanbul(オリジナル)
Gypsy Love(オリジナル)
トルコ伝統曲(民謡)
Imagine(ジョン・レノン) ほか